守りたい人【完】(番外編完)

そして、視線の先にいたのは1人の自衛官。

雨で濡れた迷彩姿で、私の隣の人を見て目を見開いている。

それでも、ハッと我に返ったように突然居住まいを正して、勢いよく敬礼した。


「ご、ご無沙汰しておりますっ」


指先まで力の入ったその姿を見て、思わず目を瞬く。

すると、朝比奈さんは一歩その自衛官に歩み寄った。


「久しぶりだな。元気にしてたか」

「はいっ」

「相変わらず、声でけぇな」

「――っ、はいっ」

「元気そうで良かった」


敬礼した手を下ろして、直立不動のまま朝比奈さんの言葉に応えるその人。

それでも、朝比奈さんの言葉を聞いて、一瞬泣き顔になった。

だけど、逃げるように顔を伏せたその人は、ぐっと唇を噛み締めた。