何かをしていないといけないと思った。

こんな思い出を思い出す暇が無い程、没頭できる何かを。


何か、没頭できるものが欲しい。

このままでは、壊れてしまいそうだ。

思い出に飲まれて、前に進めなくなってしまう。


そう思った瞬間、勢いよく起き上がって携帯を開く。

そして、求人情報が乗ったサイトを片っ端から探した。


煩わしかったものが無くなって心が軽くなったはずなのに、妙に焦っている自分がいた。

ここにいたら、社会に取り残されて、気が付いたら追い付けなくなるようで怖い。

ずっと、こんな所で足踏みして傷心に浸っているのはだけは嫌だった。


「働こう」


もう十分すぎる程休んだ。

やっぱり、ここは私のいる場所じゃない。


世話しなく、人々に埋もれて、時間に追われている方が私には合っている。

それに、そうすれば余計な事も考えなくて済む。


早く仕事を見つけて、この町を出よう。

そして、早く新しい人を見つけて思い出に終止符を打とう。

そう、思ってたのに――…。