守りたい人【完】(番外編完)

その言葉を聞いて、納得する。

もちろん日本は戦争をしない国だけど、自国を守る事はしなくちゃいけない。

その為の訓練だろうけど、見方を変えれば、人を殺める為の訓練でもある。

だけど、テレビで観たような、昼夜も問わず災害派遣に徹する姿を見た事のある私からすれば、応援したい気持ちの方が強い。


「わ、私は応援します」


その気持ちが湧き上がった途端、ギュッとタオルを握って声を上げた。

突然そんな事を言った私に、2人は目を瞬いた。


「私も鍛冶君と同じように、かっこいいと思います! 誰かの為にそこまで頑張れる人、早々いないです!」


今まで朝比奈さんがそうやって非難されてきたと思うと、なんだか腹が立った。

きっと、この人はどんな事よりも目の前の人達を優先して頑張ってきただろうから。


鼻息も荒くそう言った私を見て、朝比奈さんがフッと僅かに表情を緩めた。

そして。


「サンキュ」


ポンッと私の頭に一度手を乗せた後、スタスタと二階に消えていってしまった。

その姿を見て我に返った私は、一気に顔が茹でダコのようになる。