その事に少なからずゲンナリする。

景色も変わっていなければ、人間も変わっていなかった。

閉鎖的で、隣とのネットワークが密な場所。

いや、密すぎる場所。


みんな噂話が大好きで、近所の人達は小さな世界の中で僅かな変化を盛りに盛って話して楽しんでいる。

変わり映えのない世界に入り込んだ私も恰好の噂の的で、近所では私が帰ってきた事で話題は持ちきりらしい。


やれ、結婚に失敗しただとか。

やれ、仕事を辞めて実家に転がり込んだとか。


いろんな噂が近所で回っているらしい。

私はそういう事が昔から嫌いだったから、両親からそれを聞いた時は酷くウンザリした。

相も変わらず、この町の人々は小さな箱庭の中で生きているらいしい。


「ただいまぁ~」


足早に家に帰り、玄関にあった時計を見つめる。

まだお昼前の時間で、一日が終わるのはまだまだ先。

以前は気が付いたら夜で、睡眠時間が足りない程だったのに、今は時間が有り余って困る。


はぁっと何度目かの溜息を吐いて、家の縁側に寝転がった。

チチチと、名前も知らない鳥が空を駆けていくのをボンヤリと見つめる。