守りたい人【完】(番外編完)

「朝比奈さん」

「鍛冶の言う通り、氾濫するのは時間の問題だ。そうなる前に避難したほうが賢明かもしれないな」

「避難……ですか」

「ここらへんの避難指定場所は、小学校だったな」

「は、はい」

「明日の様子を見て、判断する。必要な荷物はまとめておいた方がいい」


どことなく慣れた様子でそう言った朝比奈さんの言葉に、鍛冶君と並んで関心してしまう。

さすが、元自衛官……。


「さっすが、段取りええわぁ~。災害派遣も行った事あるんか?」


鍛冶君も同じ事を思ったのか、関心した様子でそう問いかけた。

そんな鍛冶君を見て、朝比奈さんは小さく頷いた。


「まぁ、実際今の自衛隊の主な任務は災害派遣だからな」

「テレビで観る度に、かっこええなぁ思ってたわ」

「そう思ってもらえたなら、少しは偏見の目も弱まるんだろうな」


そう言った朝比奈さんの言葉に、首を傾げる。

どういう事だろうと思って。


「偏見の目?」

「世間ではいろんな意見があるだろ。まぁ、実際俺達は銃も撃っていたし、兵器と言われるものも持っていた。それに、戦争を仮定した訓練もしていたから」

「――」

「いろんな考え方がある。一つ力のあるモノを持てば、賛否の声が上がるのは仕方ない」