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「凄い雨……」
まるで滝のように流れる雨を見つめて、ポツリとそう呟く。
リフォームされているとはいえ、所々ボロが出ているこの家は強風が吹く度に揺れていた。
「屋根飛ばないよね」
物凄い騒音を立てる雨風に不安になって天井を見上げる。
あの告白の次の日から、この豪雨は続いている。
もう4日も止まずに降り続いているこの雨は、記録的な豪雨だとテレビで騒がれていた。
いろんな所が雨漏りしたり、風で鉢植えが飛ばされたりと、タイミング良くなのかバタバタしていて、朝比奈さんと気まずい空気になる事はなかった。
朝比奈さんに至っても、私の最後の捨て台詞を酌んでか、いつも通りに接してくれた。
告白の返事を聞きたいけど、待つと言った手前、自分から言い出す事もできず、悶々と過ごす日々だった。
「あかんわぁ~、もう傘飛んでいってしもたわぁ」
黙々と夕食の準備をしていると、ガラガラっと突然扉が開いて、ずぶ濡れの鍛冶君が顔を覗かせた。
そのあまりの濡れように、驚いて目を見開いた。



