守りたい人【完】(番外編完)

「はぁ……」


いくらか走った後、胸が苦しくなってきて歩みを緩める。

バクバクと心臓が早鐘のように鳴っているのは、きっと走ったからだけじゃない。


グッと胸の辺りのシャツを掴んで、ヘロヘロとその場に座り込む。

土の匂いが香った瞬間、妙に現実感が襲ってきた。


「私の、意気地なし~……」


途中までは、良かったのに。

最後の方は勢いが失速して、私の弱い部分が勝ってしまった。

答えを聞くのが怖くて、逃げ出してしまった。


「何やってんだろ~」


こんなはずじゃなかった。

だけど、きっと何度やり直しても土壇場に弱い私はあぁなってしまうのが目に見えていた。


うぅ~っと若干の後悔の念にさらされながら、ブチブチと足元に生えていた雑草を抜く。

今になって恥ずかしさが襲ってきて、暴れだしたい気持ちになった。


もういい大人なのに、あんな子供みたいな告白。

絶対引いてたよ、朝比奈さん……。