も~っ! 何言ってんのよ、自分っ!
ってか、これじゃぁ、言い逃げじゃない!
朝比奈さん、ポカンとした顔してたじゃん!
絶対、頭のおかしい女だと思われた!
絶対、絶対、さっきフろうとしてた~っ!
それでも、そこでハッとある事に気づいて勢いよく体をUターンする。
テンパって一番大事な事を言うのを忘れてたっ!
そう思い、さっきまでいた場所に勢いよく駆けこむ。
すると、数秒前までと同じ格好のままの朝比奈さんが、突然戻ってきた私の姿を見て再びポカンとした顔をした。
その姿に向かって、勢いのまま叫ぶ。
「あ、朝比奈さんっ!」
「な、なに」
「さっきの言葉を聞いたからって、変に気使ったりしないで下さい」
「――」
「私の我儘ですけど、今まで通り接してください」
この告白をキッカケにギクシャクする事が一番嫌だった。
私の気持ちを一方的に押し付けて、そんなの都合のいい事かもしれないけど、それだけは譲れなかった。
今まで通り、変わらず接してほしかった。
「お願いします!」
そう言って、勢いよく頭を下げて、再び逃げるようにその場を去った。
何か言おうとしてた朝比奈さんに気づいていたけど、気づかないフリをした。
今の私には、もうこれ以上はキャパオーバーだった。



