沈黙に我慢できなくなってきて、チラリと隣の朝比奈さんを盗み見る。

だけど、その感情の宿らない表情を見た瞬間、さっきの勇気や勢いはどこへやら。

シュルシュルと風船が縮まるように、膨らんでいた気持ちも萎んでいった。

まるでジェットコースターにでも乗っているみたいだ。


忘れていたように、一気に心臓がバクバクと鳴り始める。

息が詰まるような沈黙に耐えられなくなって、残ってもいないビールを煽った。

すると。


「俺は――「あ、あのっ」


何か言おうとした朝比奈さんの言葉の上に、大声で自分の声を重ねる。

半分は無意識だったけど、言ってしまった以上後戻りできない。


バッと勢いよく立ち上がって、そのまま中庭に飛び出る。

そんな私の突然の行動に、朝比奈さんは目を見開いた。


その表情にも気づかないフリをして、引きつる笑顔を顔に敷く。

そして、困惑した様子の朝比奈さんを見つめながらアタフタと両手を動かして口を開いた。


「す、すいません、突然訳の分からない事を。あ、あの、返事は、その、今すぐじゃなくていいですから!」

「え?」

「ゆっくり考えて下さい!」


そう言うや否や、耐えきれなくなって勢いよく駆けだした。

それはもう、物凄いフォームとスピードで。