守りたい人【完】(番外編完)

初めて聞く朝比奈さんの心の内に胸が熱くなる。

私の両親の事を、そんな風に思ってくれていた事が嬉しくて堪らない。


「初め、ここは何もない場所だと思っていた。だけど、住んでいくうちに住民の優しさだったり自然の美しさに驚かされた。あまりにも居心地が良すぎて、気が付いたら夏になっていた。空っぽだった毎日が少しづつ満たされていくのが分かった」

「――」

「あんたにも、鍛冶にも、感謝してる」

「え?」

「こんな俺を受け入れてくれた」


そう言って、伏せていた視線を持ち上げた朝比奈さんを見て、今度こそ泣きそうになった。

鍛冶君も、神妙な顔つきで朝比奈さんを見つめている。


「だからこそ、迷惑はかけたくなかった」

「迷惑だなんて、これっぽっちも思ってないですよ……」

「俺と親しくしている所を見られれば、あんたも鍛冶も俺と同じように白い目で見られる。だから、噂が立ってからは必要以上に接するのを止めた」

「だから、あんなに素っ気無く?」


そう言った朝比奈さんの言葉に、目を見開く。

その言葉を理解した瞬間、今まで悩んでいた気持ちがゆっくりと晴れていく。


本当に、どこまでも不器用で意地っ張りな彼。

自分が嫌われ者になってまで私達を守ろうとしてくれたの?