守りたい人【完】(番外編完)


「……もしかして、その部下の不祥事をあんたがかばったんか」


次に落ちる言葉を固唾を飲んで待っていたその時、黙っていた鍛冶君がポツリとそう呟いた。

ハッとして鍛冶君の方に視線を向けると、腕を組んだまま真剣な顔をして朝比奈さんを見つめていた。


その言葉を期に、部屋に静寂が訪れる。

それでも、しばらくして朝比奈さんは小さく頷いた。


「俺の責任でもあった」

「あんたは何も悪くないやろ! なんで部下の不祥事を上司のあんたが庇う必要があるんや! お人好しもいい加減にしい!」

「あの時はこうするしかなかった!」

「はぁっ!?」

「外部の人間には分からない! 俺達が毎日どんな精神状態で働いているか! 狭い隊舎の中に閉じ込められて、毎日誰かに監視されながら生活している! それでも志を折らずに頑張れたのは、過酷な訓練と衣食住を共にして確固たる絆で結ばれている仲間がいたからだ! だけど、気持ちが少しでも揺らげば一気に心は折れてしまう!」

「――」

「公にはならないが、自衛官の自殺者は後を絶たない。それくらい、みんなギリギリの精神状態で働いているんだ!」


初めて声を荒げた朝比奈さんの姿を見た。

鍛冶君も同じだったのか、目を見開いて言葉を飲んだ。