「部隊の飲み会の帰りに、上司に飲まされて泥酔したそいつを俺が責任をもって隊舎に帰すつもりで2人夜道を歩いていた。だけど、その時ちょうど上司から電話がかかってきて電話に出たんだ。――…それで、目を離していた隙に起こった事件だった」
「――」
「泥酔していたソイツを見て絡んできた男がいて、自衛官だと分かった瞬間、人殺しの集団だと罵られたらしい。それで、カッとなって殴ってしまったと後から分かった」
人殺しの集団。
その言葉を聞いて、何も知らない私でさえ腹が立った。
だって、震災が起こる度に必死になって救助や復興をしてくれている姿をテレビで観ているから。
自分達の危険も顧みず、自分達にも家族や待っている人達がいるのに、毎日必死に頑張ってくれている姿を今や国民のみんなが知っているはず。
それなのに、そんな言葉―――。
どこか悔しさを覚えて、膝の上でグッと拳を握る。
私でさえこれだけ悔しいのだから、最前線で誰かの為に頑張っている彼らからすると、その悔しさは計り知れないだろう。
それでも、朝比奈さんは表情一つ変えずに、ただ淡々と言葉を紡いだ。
「もちろん止めにかかったけど、相手は怪我をしてしまった。殴った部下も直ぐに我に返ったけど、その時は何もかも遅かった」
「――」
「そいつは今度昇進も決まっていて、新しく家族も増える事が分かっていた。だけど、不祥事を起こした自衛官は、例外なくすぐに懲戒免職だ」
「――」
「そいつも、その事を分かっているから、冷静になった瞬間、酷く取り乱して我を失っていた」
そこで言葉を切って下を向いた朝比奈さんを見て、もしかして、と思う。
ザワザワと心が嫌な予感に満ちる。
まさか――。
「――」
「泥酔していたソイツを見て絡んできた男がいて、自衛官だと分かった瞬間、人殺しの集団だと罵られたらしい。それで、カッとなって殴ってしまったと後から分かった」
人殺しの集団。
その言葉を聞いて、何も知らない私でさえ腹が立った。
だって、震災が起こる度に必死になって救助や復興をしてくれている姿をテレビで観ているから。
自分達の危険も顧みず、自分達にも家族や待っている人達がいるのに、毎日必死に頑張ってくれている姿を今や国民のみんなが知っているはず。
それなのに、そんな言葉―――。
どこか悔しさを覚えて、膝の上でグッと拳を握る。
私でさえこれだけ悔しいのだから、最前線で誰かの為に頑張っている彼らからすると、その悔しさは計り知れないだろう。
それでも、朝比奈さんは表情一つ変えずに、ただ淡々と言葉を紡いだ。
「もちろん止めにかかったけど、相手は怪我をしてしまった。殴った部下も直ぐに我に返ったけど、その時は何もかも遅かった」
「――」
「そいつは今度昇進も決まっていて、新しく家族も増える事が分かっていた。だけど、不祥事を起こした自衛官は、例外なくすぐに懲戒免職だ」
「――」
「そいつも、その事を分かっているから、冷静になった瞬間、酷く取り乱して我を失っていた」
そこで言葉を切って下を向いた朝比奈さんを見て、もしかして、と思う。
ザワザワと心が嫌な予感に満ちる。
まさか――。



