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「はい、どうぞ」
食べ終わった食器を片付けたテーブルに、冷たいお茶と果物を置く。
カランと氷の落ちる音が、静かなダイニングに響いた。
すると、2人は何か話していた会話を中断させて私に視線を向けた。
久しぶりに3人で取った食事は、楽しかった。
と言っても、ほとんど鍛冶君が喋っていて朝比奈さんはいつもと同じように相槌を打つくらいで黙々とご飯を食べている。
それでも、その場にいるだけで心がポッと暖かくなった。
並んで座る2人の前に腰を下ろして、近所から貰ったリンゴを口に運ぶ。
すると2人も会話を止めて、剝きたてのリンゴに手を伸ばした。
シャクシャクとリンゴをかじる音だけが響く。
途端に誰も話さなくなり、視線も同じようにテーブルに向けたままだった。
それでも。
「2人に話して、おきたい事がある」
突然持っていたフォークを置いた朝比奈さんが、私と鍛冶君に視線を向けた。
その言葉を聞いて、私と鍛冶君は何も言わずにフォークを置いた。



