その優しさを知って、胸が締め付けられる。
それと同時に、この手を離してはいけないと強く思った。
グッと拳を握って、前を見据える。
そして、胸を張って真っ直ぐに言葉を紡いだ。
「迷惑かどうかは私が決めます」
「――」
「私、見かけによらず頑固なんですよ」
ふふっと笑ってそう言えば、隣にいた鍛冶君が耐えきれないといった風に吹き出した。
そして、何が可笑しかったのかゲラゲラと笑い出した。
その姿を見て、ポカンと口を開けて固まる。
「確かに、志穂ちゃん頑固だわ!」
「え、ちょっと、今笑うとこですか!?」
「だってっ! あ~腹痛いわぁ」
何か思い出す所があったのか、体を折り曲げて笑い出した鍛冶君を横目で睨みつける。
それでも、なんだか次第に可笑しくなってきて、思わず釣られて笑ってしまった。
ケラケラと2人並んで笑う。
すると、場違いな笑い声に訝し気に振り返った朝比奈さんは奇妙なものでも見るように、私と鍛冶君を見つめた。
そんな朝比奈さんを見て、鍛冶君が目じりの涙を拭って口を開いた。
「もっと楽に生きたらどうや、朝比奈さん」
「――…楽に?」
「誰かの為とかじゃなくて、自分の為に生きたらどうや」
「――」
「誰も自分の人生を代わりになんて歩いてくれへんのや。だったら、自分の思うように生きたらええ。好きなように生きたらええ」



