守りたい人【完】(番外編完)

「行かないで下さい、朝比奈さん」

「――」

「私には、あなたが必要なんです」


まるで告白みたいだな、なんて言ってから思う。

それでも、真っ直ぐな自分の気持ちだった。


離れたくない。

一緒にいたい。

悩んでいるなら、力になりたい。


迷いなくそう言った私の言葉を聞いて、朝比奈さんの瞳が揺れる。

茜色に染まった世界が、何故かその姿を悲しく映し出した。

すると、まるで逃げるように視線を伏せた朝比奈さんが、クルリと後ろを向いて私に背を向けた。

そして。


「俺があそこにいれば、あんたに迷惑かかるぞ」

「え?」

「噂。聞いてるんだろ」

「――」

「あんたも何言われるか分からねーぞ。町興しの計画も白紙になるかもしれないんだぞ」


その言葉を聞いて、あぁ。と思う。

やっぱり、この人はどこまでも優しい人。

どこまでも優しくて、不器用な人。


私達に迷惑がかかると思って、全部1人で抱え込んで消えるつもりだったんだ。

それが、朝比奈さんの不器用ながらの優しさだったんだ。