守りたい人【完】(番外編完)

バタバタバタッと勢いよく階段を駆け下りる音が聞こえて、顔を上げる。

すると、血相を変えた鍛冶君が階段から降りてきて、勢いよくダイニングに飛び込んできた。

その姿を見て、驚いて目を見開く。


「鍛冶君? どうしたの?」


血相を変えたままの鍛冶君の顔を見つめて、そう問いかける。

だけど、真っ青な顔で私の顔を見つめた鍛冶君の表情を見て、心臓が一度バクンと鳴る。

それと同時に、何か嫌な予感が脳裏をよぎる。


「朝比奈さんが……」


すると、呼吸を整えた鍛冶君がポツリと彼の名前を呼んだ。

そして、伏せていた視線を私に向けて、今度はハッキリと言葉を紡いだ。


「朝比奈さんが、出て行った」


ストンと、まるで心臓が高い所から落ちたような気持ちになる。

は。っと息の下で言葉を落として、目を見開いた。


「部屋はもぬけの空で、綺麗に片付いていた」

「――」

「荷物も一切無かった」


その言葉を聞いて、一気に足の力が抜ける。

カタンと崩れそうになった私を、慌てて鍛冶君が支えてくれた。