守りたい人【完】(番外編完)

その言葉がナイフのように胸に刺さって息が詰まった。

それでも、勢いよく振り返って大きな背中に向けて声を張り上げる。


「朝比奈さんの力になりたいんです!」

「――」

「いつも助けてもらってばっかりだから、力になりたいんです!」

「――」

「朝比奈さんっ!」


必死にそう言うけど、私の言葉は届かない。

一瞬足を止めた朝比奈さんだったけど、それでも一度も振り返る事なくそのまま2階へと姿を消した。


誰もいなくなったダイニングに、1人ポツンと佇む。

ハァハァと大きく肩で息をして、締め付けられる胸を抑える。


「好きだから、力になりたいの……」


届かなかった想いを、もう一度呟いて俯く。

もどかしい現実に押し潰されそうになる。

自分の力がどれだけちっぽけか思い知らされた気がした。


思わずその場に蹲って、顔を膝に埋める。

今にも涙が出そうだったけど、グッと奥歯を噛み締めて耐えた。