痛い程の沈黙が私達を包む。
それでも、ついにはそのまま立ち上がって部屋を出ていこうとした朝比奈さん。
その姿を見て慌てて駆け寄って、朝比奈さんの行く手を阻む。
「あのっ、もし事実じゃないなら、私が近所の人達に言いますっ」
私の言葉を聞いて足を止めた朝比奈さんが、ゆっくりと視線を私に向ける。
何一つ感情の感じられないその瞳に一瞬たじろぎそうになったけど、勢いに任せて口を開いた。
「今日帰された事も、もしかしてそれが関係してるんじゃないんですかっ!?」
「――」
「もしデマカセなら、朝比奈さん嫌な思いしてるんじゃないんですか!?」
一気に詰め寄って、そう言う。
これ以上噂が広まって、朝比奈さんが後ろ指さされるなんて嫌だ。
そんな思い、してほしくない。
ドクドクと心臓が鳴る中、必死にそう訴えかける。
届いて、と願いながら。
それでも。
「あんたには関係ない」
フイッと視線を外した朝比奈さんは、そのまま私の横を通り過ぎた。



