守りたい人【完】(番外編完)

「あのね、実は……」

「うん」

「――」

「たまちゃん?」


再び言い淀んだ、たまちゃんを見て首を傾げる。

いつもと違う様子のその姿に、ただ事じゃないと察する。

むしろ、こんなにも言葉を探して言い淀んでいる姿は初めてで、今から話される会話の内容に、ドクドクと心臓が太鼓のように鳴り始めた。


何? 危ないって何の事?

『あんな人』って誰の事?

でも、私がいつも一緒にいるのは、たまちゃん・鍛冶君・朝比奈さんの3人。

今ここにたまちゃんがいるから、残るはあの2人。

だったら、あの2人のどちらかに関する事――?


不安な気持ちがムクムクと大きくなってきて、無意識に握っていた手の平に汗が滲む。

瞳を泳がせるたまちゃんを、固唾を飲んでじっと見つめる。

すると、ようやく視線を私に向けたたまちゃんが、どこか遠慮がちに口を開いた。


「実は前々から言おうと思ってたんだけど」

「うん……」

「私も最初は信じてなかったから、別に言わなくていいと思ってたんだけど、ここ最近どんどんその話が大きくなってきてね……」

「話?」

「ただの、噂なんだけどね」

「うん」

「本当かどうかは分からないんだけどね」

「うん」

「今、近所で噂になってる事があるの」

「噂?」

「うん、噂」