訝し気に首を傾げる私を見ても、朝比奈さんは表情を変える事なく私を見下ろす。
その黒目がちな瞳が、今は氷点下の冷たさの中にあった。
徐々に喉がカラカラになっていくのが分かる。
その言葉の続きを聞きたいような、聞きたくないような、相反した気持ちが脳内を巡る。
朝比奈さんの腕を掴んだ手が、今にも震えてしまいそうだ。
そして、そんな私を見つめる朝比奈さんはゆっくりと口を開いた。
「あんたと、鍛冶がキスしてるとこ」
淡々と告げられた言葉に、一気に目を見開く。
ガツンと頭を鈍器で殴られたような衝撃を受ける。
腕を掴んでいた手がハラリと落ちた。
「抱き合ってるとこも」
「ちがっ」
「何が?」
「――っ」
「事実だろ」
どこまでも冷たい声に、声が震える。
きっと、あの蛍を見に行った時の私達を朝比奈さんは偶然どこかで見ていたんだ。



