カチカチと、時計の針が動く音が響く。
その他には何も聞こえない世界で、一人ダイニングのテーブルに座っている。
チラリと時計を見れば、もうすぐ日付が変わる時間だった。
普段なら寝ている時間。
それでも、鍛冶君の言葉を受けて今日は彼の帰りを待っている。
ふぅっと溜息を吐いて、時計から視線を下ろす。
グルグルといろんな言葉が頭の中で渦巻いているけど、心は静かだった。
すると――。
カタン。
静かだった世界に物音が響く。
ハッとして顔を上げれば、ダイニングの入り口に待ちわびた人の姿があった。
「朝比奈さん」
カタッと椅子から立ち上がって、ダイニングの入り口を見つめる。
すると、私の姿を確認した朝比奈さんの目が驚いたように僅かに見開かれた。
それでも、すぐにいつもの無表情に戻って視線を伏せた朝比奈さんは、私の存在を無視するように冷蔵庫へと向かった。
相変わらずのその態度にズキンと心が痛んだけど、グッと拳を握って朝比奈さんの元へと駆け寄る。
「おかえりなさい」
「――」
「話があるんですけど」
「――」
「少しでいいんで、時間貰えますか?」
ドクドクと鳴る心臓を抑えて、必死に準備していた言葉を並べる。
それでも、朝比奈さんはチラリと視線を私に一度向けたけれど、まるで見えないもののようにして何も言わずに冷蔵庫の中を覗き込んだ。



