守りたい人【完】(番外編完)

「あ~ごめんごめん。あまりにも志穂ちゃんが可愛くて」

「はい?」

「だって、明らか拗ねてるやん!」


そう言われた瞬間、一気に顔に熱が集まる。

だけど、そんな顔見られたくなくて勢いよくそっぽを向いた。

すると、鍛冶君は笑うのを止めて、私の隣に静かに腰かけた。


「話、良かったら聞くで?」

「――」

「まぁ、話したくなかったら無理に話さんでもええけど」


私の背中にそう話しかけてから、再び鍛冶君はゴクゴクとビールを飲み始めた。

その優しさに、意地を張っていた自分が子供みたいに思える。

……まぁ、子供なんだけど。


そんな自分に嫌気を覚えながら、はぁっと内心溜息を吐く。

そして、オズオズと体の向きを変えて鍛冶君と同じ方を向いた。

視線を合わせられなかったのは、恥ずかしかったから。

そんな私を見て、鍛冶君は優しく微笑む。

その包み込むような笑顔を見て、自分の弱い部分が揺すられる。


「遠慮せんと言うてみ」

「――」

「もしかしたら、何かアドバイスあげれるかもしれへんしな」


その言葉に、モヤモヤしている気持ちを吐き出したくなる。

どうしていいか分からないこの気持ちを、聞いてほしくなる。

オズオズと視線を持ち上げれば、クリクリの瞳を細めた鍛冶君が私を見つめていた。

その表情を見て、我慢していた心が緩む。


「……聞いてください」


ポツリとそう呟けば、鍛冶君は嬉しそうに笑って頷いた。