これからも、私は朝比奈さんの事を想い続けると思う。

だけど、一緒に住んでいる以上、それは隠しきれるものではない気がする。

人一倍観察力が優れている鍛冶君なら尚更。

きっと、私が無意識に向ける視線や感情に気づかないはずがない。

だから、そんな光景を見たら傷つくんじゃないだろうか。


魔のトライアングルのような状態に、そこまで恋愛経験豊富ではない私ではキャパオーバーだ。

たまちゃんにでも、相談しようか……。


たまちゃん。

たまちゃん――……。


「あぁっ!」


思い出した、ある重大な出来事に思わず声を上げてしまう。

そんな私を見て、鍛冶君も朝比奈さんも驚いた顔で私に視線を向けた。

その姿を見て我に返った私は、慌てて薄ら笑いを浮かべながら、そそくさとキッチンの方へと逃げる。


やばいっ、忘れていた! たまちゃんって鍛冶君の事好きだった!

一目惚れだって言って、めちゃくちゃアタックしてたのに、うっかり忘れてた!


大切な事を思い出して、あぁ……と2人に隠れて地面に蹲る。

どうしよう……たまちゃんに何て言ったらいいんだろう。