守りたい人【完】(番外編完)


「うわぁっ」


そこに見えたのは、小川のほとりに浮かぶ、無数の蛍の光。

まるで絵画の世界のように美しい光景に、瞬きも忘れて魅入る。

草花に囲まれた小さな小川に、沢山の蛍が暗闇に浮かんでいる。

そして、穏やかな流れの小川には空に浮かぶ三日月が映っていた。


「ちょうど今が見頃みたいやで」

「こんなに沢山の蛍見たの初めて……」

「俺も初めて見た時、言葉失ったわ」

「凄い……嘘みたいに綺麗」


あまりにも幻想的で、感動して涙が出そうだった。

こんな綺麗な景色、幼い頃でも見た事がなかったから。


「夢みたい……」


魅入られるように、その場に腰を下ろして揺れる無数の光を見つめる。

溜息が出そうなその光景に、塞ぎ込んでいた気持ちが嘘のように消えていった。