守りたい人【完】(番外編完)

「きれい~! あ、あそこにも!」

「あそこにもおるで」

「凄い凄い! 綺麗~!」


ふよふよと浮かぶ光を見て、まるで子供のようにはしゃぐ。

蛍なんて何年ぶりだろう。

忘れていた童心みたいなものが、一気に蘇った気分だ。


「ここにも、まだ蛍がいたんですね」


それは、ここの水や自然がまだ綺麗だという事。

幻想的なその光を見て、無意識に頬が上がる。

何一つ辺りに灯りがないからか、儚いその灯りが特別綺麗に見えた。

まるで魅入るように、その光を目で追う。

異世界のように感じるこの光景に、言葉を無くして釘付けになる。

すると。


「驚くのは、まだ早いで」


私の隣に立っていた鍛冶君が突然そう言う。

え? と思って隣に視線を向けると、ニヤリと意味深に微笑む鍛冶君がいた。


「後ろ見てみ?」

「後ろ?」


その声に従って、ゆっくりと後ろを振り返る。

そして、そこに見えた景色に目を見開いた。