守りたい人【完】(番外編完)

不安になってオロオロしていると、突然腕を引かれた。

そして、よろけた私を支えた腕に捕まると同時に、目元に何かを感じた。


「え? え? 何!?」

「ええから、ちょっと目つぶってて!」


そう言われて、目の上にあるのは鍛冶君の大きな手だと分かる。

別に手で隠さなくても何も見えないのに。

そんな事を思いながらも、ワクワクした様子の鍛冶君の声に耳を傾けた。


「目開けんでや」

「ふふ、開けても手で見えないでしょ」

「あ、ホンマや」

「ねぇ、もういいですか?」

「ん~まだや……あ、おった!」

「え? 何が? 何が?」

「いくで? いくで?」


ワイワイと騒ぐ鍛冶君の声に、徐々にワクワクした気持ちが込み上げる。

無意識に上がる頬のまま、そっと離された手の向こうの景色に目を向ける。

そして、見えた景色に歓喜の声を上げた。


「蛍っ」


真っ暗な世界に見えたのは、ゆっくりと流れるように浮かぶ儚い光。

ユラユラと泳ぐように真っ黒な世界に光を灯す。