守りたい人【完】(番外編完)

「全然大丈夫ですよ。あ、そうだ、後で新しく中庭のデザインができたので見て下さいよ!」

「……別にええけど」

「庭は専門外なんですけどね。でも、自信作なんです」


心配かけまいと、必死に笑顔を作って明るく振舞う。

こうしていれば、自然と思考も上向きになるから。


それでも、鍛冶君はどこか納得しない表情で私を見つめた。

その視線に気づいて、何ともないといったように笑って首を傾げる。

すると。


「あぁ!!」

「うわっ、ビックリした! どしたんですか?」


突然何か思い立ったように大声を出して目を輝かせた鍛冶君。

あまりにも突然だったから、私はその場で飛び跳ねて目を丸くする。

そんな私を見て、鍛冶君はキラッキラに瞳を輝かせて勢いよく私の手を取った。


「ええ事思いついた!」

「え?」

「めっちゃ、ええ所があんねん」


突然そう言って、ニヤリと笑った鍛冶君。

まるで検討もつかない私は訝し気に首を傾げるだけ。


「志穂ちゃん、めっちゃ喜ぶで! 来て!」

「え? え?」

「ええから。来て!」


キラッキラの笑顔のままそう言った鍛冶君は、訳が分からないままの私の腕を引いて突然走り出した。

えぇ!? と思いながらも、連れられるがまま玄関を出て外に飛び出す。