守りたい人【完】(番外編完)

2人のおかげで、私の生活は以前とは比べ物にならないほど満たされている。

空っぽだった毎日が、キラキラ輝いている。

大嫌いだった故郷も、今では私の大切な場所だ。


「さぁて、お仕事再開しますか~!」

「志穂ちゃん、何かするなら手伝うで」

「おぉ、じゃぁ、木切るの手伝え」

「なんで、朝比奈さんの手伝いせなアカンのや! 俺は志穂ちゃんの手伝いを!」

「鍛冶君、じゃぁ、朝比奈さんのお手伝いお願いしますね」

「ほら! なんか、俺だけ蚊帳の外感あるやん!」

「何言ってるんだ。ほら、行くぞ」

「志穂ちゃぁ~ん!」


溜息交じりで鍛冶君の襟元を掴んだ朝比奈さんが、まるで猫のように鍛冶君を引きづって裏庭の方に歩いていく。

私に必死に両手を伸ばす鍛冶君の姿が面白くて、クスクス笑った。

その姿を眺めながら、大きく深呼吸をする。


少しづつではあるけど、リフォームも進んでいる。

町興しも、まだまだ形にはならないけど着実に前に進んでいる。


このまま、何もかも上手くいきますように――…。


そう思いながら、空に流れる雲を眺めて笑った。