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「あのっ! 悪いです!」
慌ててそう言うも、鍛冶君はニコニコと調子良さそうに笑って私の言葉なんて聞き入れてくれない。
それどころか、手際よくお茶まで出してくれる始末。
「気にせんでえ~んよ。だいたい、そんな体で家事するなんて無理な話やろ」
「でもっ」
「あ、今日の晩飯は志穂ちゃんの好きな八宝菜にしよか~」
そう言って、ご機嫌そうに割烹着を着て味噌汁を作る鍛冶君。
それでも、申し訳なくて片足で慌ててキッチンへ向かった。
すると、そんな私を見て呆れた顔になった鍛冶君がツカツカと私の元にやってきて、あろう事かヒョイっと抱き上げられた。
「ちょ、ちょっと!」
「あ~も~邪魔せんといて~」
「降ろしてください!」
バタバタと暴れる私をいとも簡単に抱き上げて、再び椅子に座らせた鍛冶君。
そして、膨れっ面の私の前に屈みこんで両手をギュッと握ってきた。



