「帰って手当するぞ」
そう言って、再びスタスタと歩き出した朝比奈さん。
あれから、ずっと私を抱いて山を下りてきたのに、全く疲れた様子は見えない。
「あの、重くないですか?」
「大丈夫だ」
「でも」
「もっと食え。痩せすぎだ」
その言葉と共に、黒目がちな瞳が私を射る。
その瞬間、ドクンと心臓が鳴って胸が締めつけられた。
「……ご飯、おかわりします」
「ん」
「あ、せっかく採った山菜!」
「そんなもん、俺が明日採ってくる」
「え、山菜採るの得意なんですか」
「まぁな」
せっかく採った山菜の籠をそのまま放置してきてしまった事を思い出してショックを覚えるが、背に腹は代えられない。
というか、畑仕事も出来て山菜採りも得意って、一体朝比奈さんは何者なんだろう。



