「そ、そんな事より! あの男は誰なの!?」
それでも、ふと我に返って再び前のめりになりながら2人を問い詰める。
そうだ! あの強引で無愛想で目つきの悪い男は一体誰なんだ!!
あの後、何十分と押し問答を続け、とうとうキレた様子で舌打ちした彼が、突然誰かに電話をかけだした。
そして、繋がった瞬間私の耳にその携帯を押し付けた。
訳が分からず眉間に皺を寄せていると、電話の向こうから父の声が聞こえてきて驚いた。
結局、その人の車に乗ってきて、と父に言われ納得のいかないまま承諾した。
その後、警戒しながらも車に乗ると、一度も迷う事なく真っ直ぐ自宅に着いた。
その事に、驚きと疑惑が更にムクムクと大きくなる。
「なんで私の名前知ってるの!? なんで家を知ってるの!?」
道中何か話しかけても素っ気無い返事しかないし、一度も視線を合わせようともしないし、家に着いたら着いたで、さっさとどこかに消えるし。
一体、何者なのっ!?



