守りたい人【完】(番外編完)

その姿を、ユラユラ揺れる世界の中ボーっと見つめていると。


「悪かったな」


ポツリと聞こえたのは、そんな言葉。

え? と思って目を瞬くと、前を向いていた視線が私に向けられた。


「1人で行かせて」

「そんな事……」

「ついていくべきだった」

「それは、私が勝手にっ」


予想外な言葉に、声が詰まる。

不器用だけど、真っ直ぐなその優しさに、胸が締め付けられる。

それと同時に、自分の不甲斐なさに嫌気がさす。

あれだけ大丈夫だと豪語しておりて、この様だ。


「次は俺も一緒に行く」

「――」

「ちゃんと声かけろ。いいな」


自己嫌悪に陥る私にそう言って、再び視線を前に向けた朝比奈さん。

その言葉に、その優しさに、涙が出そうになった。

だけど、そんな姿見せたくなくて、俯いてコクンと頷く。


やっぱり、この人は優しい。

不器用で、不愛想で、感情表現が苦手だけど、どこまでも人の事を思って優しい。

私が勝手に1人で出掛けて、勝手に迷子になって怪我しただけなのに、何も責めずにこうやって言ってくれた。

助けに来てくれた。