守りたい人【完】(番外編完)

「志穂!」


突然、世界に人の声が落ちる。

その声にハッとして顔を上げた瞬間、暗闇の中に立つ1人の男の人がいた。

全身ずぶ濡れで、荒い息を吐いて、蹲る私を見て目を見開いた。

その姿を見た瞬間、一気に安堵して涙が溢れる。

そして、痛みも忘れて両手を伸ばして、駆け寄ってきたその人に縋りついた。


「朝比奈さんっ!」


そんな私を抱き留めるようにして腕の中に閉じ込めたのは、あの朝比奈さんだった。

肩で息をしたまま、震える私の体を抱きしめた。

そして。


「怪我は? 大丈夫かっ?」


抱き着く私から離れて、泥だらけの私の顔を覗き込んできた。

その顔は今まで見た事もないほど焦った表情だった。


「あ、足を挫いて」

「後は」

「手首も……後は大丈夫です」