右も左も分からない真っ暗な世界に1人。
計り知れない恐怖が襲ってきて、体中が震えた。
そんな時、雨に混ざってガサガサと木々を揺らす音が聞こえて身を固くする。
まさか、という思いが巡って息を殺した。
ここ最近では、この山で熊の目撃情報があった。
こんな身動きできない所を襲われようものなら間違いなく命はない。
「た……助けて」
足の痛みも忘れて、ゆっくりと立ち上がりその場を後にしようと動き出す。
それでも、力の入らない足ではすぐに転んでしまい、一向に前に進めない。
泥だらけの体に、冷たい雨が降り注ぐ。
一気に体の体温が奪われていき、ガタガタと体が震えだした。
どうすればいいか分からず、何度も小さな声で助けを求める。
震える体を抱きしめて、涙を押し込める。
もしかして、このまま――?
なんて、不吉な事を思った瞬間、計り知れない恐怖が襲ってきて体の震えが止まらなくなった。
頭の中が一気にパニックになって、訳が分からなくなる。
「助けてぇ」
今にも消えそうな声でそう呟き、真っ暗な山を見渡す。
それでも、小さな灯りすら見えなくて、絶望が襲う。
だけど、その時――。



