守りたい人【完】(番外編完)

「朝比奈さんは、農業を学びにここに来たんですか?」

「――」

「っていうか、生活のお金ってどこから工面してるんです?」


ここに来て2カ月経つけど、相変わらず謎のベールに包まれたままの朝比奈さん。

昼間は近所の人の手伝いをしているのは分かったけど、それでお金を貰っているとは思えないし、どこか仕事に出掛けている素振りもない。

だったら、ここの家賃はどうやって払ってるんだろう。

両親が最初のお客さんという事と、働き先がないという朝比奈さんの家賃を特別に下げているとは聞いている。


なんでも、ある日駅でポツンと1人でいる所を拾ったのだとか。

犬か! と思ったけど、あの両親と朝比奈さんだったら、ありえそうだと今なら納得できる。


次々に湧き出る疑問をぶつけるも、相変わらず朝比奈さんは黙ったまま外を見ていた。

その横顔をじっと見つめて答えを待つが、一向に返事は返って来ない。


「聞かれたく、なかったですか?」


沈黙に耐えきれなくなって問いかけると、ふぅっと大きく息を吐いて私に視線を向けた朝比奈さん。

その黒目がちな瞳が、真っ直ぐ私に向けられる。


「別に」


だけど、返ってきたのは素っ気無い返事だけ。

一瞬期待したけど、やっぱり何も教えてもらえなかった。