守りたい人【完】(番外編完)

「俺、鍛冶 清一郎。ここにお世話になってるもんや」

「あ、志穂ちゃんから聞きました……」

「ほんま、ええ所やなぁ。飯は美味いし、静かやし、人は温かいし。来て良かったわ」

「なんにもない所ですよ……」

「それがええんやん!」


ガハハハと豪快に笑う度に、鍛冶君のクルンと巻かれた髪が揺れる。

その様子を、たまちゃんはポーッとしたように見惚れていた。

それでも、いつものようにマシンガントークを始めた鍛冶君は、真っ赤になりながら縮こまるたまちゃんに、畑での事をツラツラと話し始めた。

その姿を横目に、朝比奈さんにお茶を出す。


「ありがとうございます。畑仕事疲れたでしょ」

「そうでもない」

「畑の事詳しいって聞きましたけど、以前何かしてたんですか?」

「近所の人の手伝いしてたから、それ見て覚えただけ」


素っ気無くそう言いながらも、ゴクゴクとお茶を飲み干して、ふぅーっと大きく息を吐いた朝比奈さんは、いつもよりも表情が柔らかかった。

短く切られた黒髪が風に揺れる度、気持ちよさそうに目を閉じている。

その姿を見て、自然と頬が上がる。


昼間何してるのかと思ったら、そんな事してたのね。

だから近所の子供達とも仲が良かったのか。

っていうか、近所の人の畑仕事の手伝いをしてるって、どんだけいい人なんだ。

やっぱり、根は優しいんだなぁと思うと嬉しくなった。