無意識か……。なんて恐ろしいもんだまったく。

これから天ヶ瀬くんの前では変なこと口走らないようにしないと。


「天ヶ瀬くんは、あんまり自分のこと話してくれないイメージだから」

率直に思ったことを伝えた。


「じゃあ逆に聞くけど、ももは俺のこと知りたいとか思うわけ?」


「っ…、」


知りたいよ……本音は。

知らないことばかりで、ほんとはもっともっと、たくさん知りたいことがたくさんあるのに。


些細なことだって構わない。
好きな音楽や、嫌いなもの。あげ始めたらキリがない。
そんなどうでもいいことだって天ヶ瀬くんのことだったら知りたい。


だけど天ヶ瀬くんはそんな答えは求めていないってわかってる。

だから、返す言葉に困る。


「もーも」

呼ばれた声で我に返ったと思ったら、ドアップで整った顔が飛び込んできた。