「俺がもものこと本気だって言ったらアンタは諦めてくれんの?」


ちょっと何言ってるのこの人。
そんな気持ちこれっぽっちも無いくせに。


「お前が本気になるわけねーだろ!」

「さあ。それは俺にしかわかんないことだし?あとさ……」


今度は天ヶ瀬くんが愁桃に迫って。


「俺、自分のものに手出されるんの大っ嫌いだから」


聞いたことない、低いしっかりした声が耳に届いた。


それを聞いていたわたしと愁桃は呆然としていた。


「いくよ、もも」

「へ、えっ、あ……」


ひとりでキョドッてる間にも、天ヶ瀬くんはわたしの手を引いて、教室から遠ざかっていく。


そして、連れてこられたのは人通りがない、屋上につながる階段の隅の廊下。