「ほーら、早くしてよ」
「や、だから……」
あたふたするわたしをさらに追い込むように顔を近づけてきた。
「焦らすの好きなの?」
「そ、そういうことじゃなくて!」
なんでそういう発想に持っていっちゃうの…!
「焦らすならもっとうまく焦らしてよ」
「ぅ……そんなつもりじゃないもん」
もう、どうしたらいいかわからなくて、恥ずかしくて顔は赤いし、自然と瞳が潤んでしまって。
ダメって、天ヶ瀬くんを見つめたら。
「あー……その顔はずるいね」
ついに、天ヶ瀬くんの限界がきたのか、軽くチュッと触れるキスをされた。
今のたった一回のキスで、わたしの頭の中はいっぱいいっぱい。
そんなわたしを見て、片方の口角を上げて、ニヤッと笑いながら。
「これくらい頑張ってよ。これからもっとすごいのしたいのに」
「っ!?」

