天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。




***


意識が戻って、目を開けると、視界がタオルのようなもので覆われていた。

冷たくて気持ちいい。濡れたタオルに、首元には袋に入った氷が当てられていた。


身体は横になっていて、頭が誰かの膝の上に乗っかっている気がする。


誰だろう?と思い、視界を覆っていたタオルを退かすと。


「……目覚めた?」

「っ……」


いちばんに視界に入ってきた、心配そうにわたしを見つめる


……天ヶ瀬くん。


「急に倒れるから」

「……ご、ごめん…なさい」


ダメだ、返しがぎこちない。
顔が見れそうにない。すぐに覆っていたタオルを再び被せようとしたら。


「まだ調子悪い?」

それを阻止されて、頬が冷たい天ヶ瀬くんの大きな手に包まれた。