「はじめまして〜でもないよね?でも名前言ってなかったから改めて。ゆづくんの幼なじみの戸羽唯乃です。よろしくね、愁桃くん?」


あぁ……やっぱりこのキラキラした笑顔が怖いな…。

今回のこのダブルデートだって何を企んでるんだろうって。


それから、4人で中に入ることになった。

休日ってこともあって、人がとても多い。見失ったらすぐにはぐれてしまいそう。


わたしと愁桃が隣に並び歩いて、前に唯乃さんと天ヶ瀬くんが歩いている。


「ねぇ、ゆづくん!これね……」


笑顔で楽しそうに話しかける姿を見て、胸がギュッと苦しくなる。

あんなにひどい別れ方をして、気持ちなんて無くなっていいはずなのに。


わたしにはいま愁桃がいるのに……。


そんなことを考えていると、繋いでいる手がさらに強く握られた。

まるで、今のわたしから何か察したように愁桃が動いたように感じた。