余計なことを考えているわたしに心配する声がかかって、ハッと我に返った。

今はすごい人が乗っている電車に揺られている。

きっと、体調が悪くなったのではないかと心配して声をかけてくれたに違いない。


「だ、大丈夫…!ちょっと考え事してただけ」


「……そっか。なんかあったらすぐに言えよ?」

「う、うん」


こうして、電車は目的地へ着き、ゲートがあるほうへ2人歩く。


さっきまで両手空いていたはずなのに、今は片手を愁桃に繋がれている。


普段は手を繋ぐことはあまりないけど、付き合ってるなら普通のこと…か。


ギュッと繋がれて、離さない。


天ヶ瀬くんも…唯乃さんとこうやって手を繋いだりするのかな…?

それを目の前で見なきゃいけないなんて……。


やっぱり、心のどこかで天ヶ瀬くんへの気持ちがどうしても出てきてしまう……。

こんな状態で、1日過ごすことができるのか、不安のままゲートで合流した。