なんだ……やっぱり天ヶ瀬くんは唯乃さんの元に戻ってしまったのか。
何も傷つくことなんかない、落ち込むことなんかないのに……。
胸がギュッとつぶされそうになる。
「今はね、唯乃の両親が海外から戻ってきてゆづくんのお家にはいないけど。でもね、唯乃のことすごく大切にしてくれるの。昔以上にね?」
「…………」
「ゆづくんのお家にお世話になってる時なんか、毎晩唯乃のこと抱きしめて寝てくれるの。他にもね、唯乃がお願いしたらゆづくんはなんでも聞いてくれるの。優しいでしょ?」
なんで……耳を塞ぎたくなってしまうんだろう。
別にいいじゃん……。天ヶ瀬くんはわたしではなく、唯乃さんとの幸せを選んだ。
わたしも、愁桃に大切にされて、愁桃との未来を選んだはずなのに……。
どうして、素直に聞くことができないの…?