天ヶ瀬くんは甘やかしてくれない。




今は背なんかわたしよりずっと高くて、身体だってしっかりしてる。

内面も、昔はわたしの後ろに隠れてることが多くて、弱かったのに、今はそんなことないしなぁ。


なんだか昔の愁桃が今の愁桃と一緒なのが信じられないなぁ。


「愁桃ほんとに変わりましたね。すごくカッコよくなったと思いますもん」


パラっとアルバムをめくっていると、わたしの前でクスッと笑っていた。


「ふふっ、そうねぇ。でもね、あの子がねあんなに変わったのはももちゃんのためなのよ?」

「え?」


そこから昔話が始まった。


「ほら、あの子って身体弱かったじゃない?背も他の子に比べたら小さかったし、ももちゃんより弱かったし」

「そうですね」


「だからね、あの子ってば、どうしたら背が伸びる?どうしたらももを守れるくらい強くなれる?って口癖みたいにずーっと言ってたの」

「え、そうなんですか?」