「お前、そんな言い方しなくても……」
ずっと黙っていた愁桃が言葉を発して、天ヶ瀬くんの胸ぐらをつかんだ。
「は……?あんたこそ人のもんに手出しといて何言ってんの?」
呆れた声と、その手を面倒くさそうに払うのが見えた。
「……もうどーでもよくなってきた」
ははっと、自嘲的に笑いながら。
「まあ、最初から本気でもなかった相手とここまで続くことが珍しいよね」
本気でもなかった……。はっきり言われて、傷つく資格なんかわたしにはないのに。
「どーせ、そっちも本気じゃなかったんだし?だからただの幼なじみと平気でそーゆーことできんだもんね」
たしかに……わたしも悪い……。
だけど、天ヶ瀬くんだって、わたしじゃなくて幼なじみを選んでるじゃない……っ。

