━━ガタンッ……。
何か音がした。
音のするほうに視線を向けて、
目が合った。
予想していなかった、最悪の事態。
彼氏でもない、幼なじみとキスをしているところを、
いちばん見られたくない、見られてはいけない人に見られてしまった。
わたしに向けられた視線はとても冷ややかで鋭かった。
「っ……」
ここまで、散々自分勝手にやってきて、バチが当たったんだと思った。
取り返しのつかないことをしていると、今更ながら気づいた。
とっさに、愁桃を押し返した。
そして、背を向けた。
無意識なのか、唇をこすってしまった。
怖くて、そちらに振り向けない。
わたしの不自然な様子に、気づいた愁桃が音のするほうに視線を向けたのが見えた。
そして、驚いた顔を見せた。
それもそう
だって、そこには
わたしの好きで好きで、仕方ない
天ヶ瀬くんがいたんだから……。

