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あれから、1人でバカみたいに泣いてしまって、ようやく落ち着いたので教室にカバンを取りに戻った。


泣きすぎてまぶたが熱いし、まだ目も少し赤い。


こんな状態で誰かに会いたくないって思っていたのに。


「おっ、戻ってきたか。遅かったな」


もう……なんでこいつはいつもタイミングが悪いの。


そこには、わたしの席に座って、こちらに手を振る愁桃の姿。

授業が終わってからだいぶ時間が経ってるから、もう帰ったと思って油断した。


「なんで、いるの」

「まだお前が帰ってねーから」


そう言いながら、机の横にかかるわたしのカバンを指差した。

失敗した。カバンを持って行けばよかった。


「もう…最悪、バカ……ッ」

誰にも会いたくないのに。
顔も見られたくないのに。