確かにひとつ分かることがある。
私は一人暮らしをしていなかったのだ。誰かと一緒に暮らしていたのだ。しかも男性と。

「私、今夜泊まるわ。1晩泊まってみて何か思い出せるのであれば泊まりたいの。」

私は姉にお願いした。

「あかり…。それは今日じゃなくても…。」

「ううん、今日じゃなきゃダメ。また行きたいといったら、お母さんもお姉ちゃんも鍵出してくれないと思うから。」

姉の阻止を遮り、私は泊まりたいという強い意思を姉に伝えた。

姉は、私の中から何かを感じ取ったかのように真剣な顔に変わり、
「分かった。」と頷いた。
姉は、子供がいるからと車で先に帰った。