「それから?」
「なんもないっ」
「俺には?」
おかしいね、さっきいらないって。
甘いのはいらないって言ったのに。
「欲しい?」
本当に渡したいちいさい紙袋じゃなくて、大きい布袋を見せてみる。
すると雨水くんは顔を顰めて
「いらね」
無意識のうちに、私の心を粉々にしていく。
・
しばらくすると、学校が見えてきて
高校に入ってからは一緒に登校するのは久しぶりかもな、なんて考えていた。
お互いに浮いた話もないし、教室に入るとうるさくなるかな、
なんて覚悟を決めた時。
「きょうちゃんおはよっ!」
「お、!はよっ」
いきなり後ろから挨拶をされてびっくりしてしまった。
大袈裟に。
「ははっ、きょうちゃんサンタさんみたーいっ!」