「気になる」
「忘れて」
「いやだ」
「忘れて」
「……」
「………」
「おしえ「やだ」」
言い合いを続けながらさっきバイバイしたはずの場所にまた立つ。
あ、そうだ。と椋は小さな紙袋をごそごそしてマカロンを取り出す。
茶色とピンクの生地に挟まれたマカロン。
と、それを私の口元に持っていくとふわっと香るマカロンの甘い香り。
「はい、あーん」
「あーん?」
言われるがままに口を開ける。
そして、その口の中にマカロンをひとつ放り込んだ。
目を白黒させながら、もぐもぐする。
「ん、あま」
予想以上の甘さに、あやさ控えめにしたのにな、とガッカリする。
椋はそんな私の顔を覗き込んで
「美味しい?」
「まあそれなりには、お店で売ってるやつとは ─── 、んっ」